レーザー治療と高周波治療の違いを専門医がわかりやすく解説
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)の治療法でよく選ばれるのが、カテーテルによる血管内焼灼術(けっかんないしょうしゃくじゅつ)です。レーザー治療と高周波治療(ラジオ波)です。どちらの治療方法も健康保険が適用されます。
この2つの治療法の違いを詳しく見ていきましょう。
赤外線と高周波の違い
カテーテルによる血管内焼灼術には1470nmレーザー(赤外線)を使う方法のほかに、高周波治療という選択肢もあります。どちらも熱を利用した治療法ですが、その仕組みが異なります。
高周波 | 赤外線(1470nmレーザー) | |
---|---|---|
正体 | 電気の波(電磁波) | 目に見えない光 |
働き | 金属や水分を振動させて熱を生み出す | 物に吸収されて熱を伝える |
実際の使用例 | 電子レンジ | ストーブ |
例えば、電子レンジは「高周波」のエネルギーを使い、食品の水分を振動させて温めます。一方、ストーブの温かさは「赤外線」が空気や物に吸収されることで伝わります。
医療での使い方の違い
- 1470nmレーザー治療は、赤外線の光を使い、血管に熱を伝えて閉じる方法です。
- 高周波治療は、電気のエネルギーで血管の内壁を加熱し、閉じる方法です。
どちらの治療法も効果的ですが、1470nmレーザーは血液や水分に吸収されやすいため、より効率的に血管を閉じやすいという特徴があります。
レーザーカテーテルの特徴
レーザー治療で使用するレーザーカテーテルは、直径約1.27mmと非常に細いため、治療時の傷が小さく目立ちにくいのが大きな特徴です。
画像提供:インテグラル株式会社
レーザーカテーテルのメリット
✅ カテーテルが細いため傷跡が小さい
✅ 注射針で簡単に挿入でき、特別な道具が不要
✅ 柔軟性があり、曲がりくねった静脈瘤(側枝静脈瘤)にも対応可能
✅ 皮膚を切開せず、小さな針穴から治療が完了する
1470nmレーザーは、血管の壁だけに適切な熱を与えるため、周囲の組織に不要な熱ダメージを与えにくく、安全かつ効率的な治療が可能です。
レーザー治療の流れと仕上がりの美しさ
治療は、静脈の中にカテーテルを挿入し、レーザーを照射して血管を閉じるシンプルな方法です。小さな針穴からカテーテルを挿入できるため、皮膚を切る必要がなく、傷跡がほとんど残らないというメリットがあります。
治療後の注意点
レーザー治療は熱を利用するため、軽い内出血や痛みが生じることがありますが、ほとんどの方は数日以内に治まります。また、皮膚を切らないため傷を糸で縫う必要もないため日常生活への影響が少なく、治療翌日からほぼ通常通りの生活を送ることができるのも特徴です。
レーザー治療のまとめ
1470nmレーザーを使用した治療は、傷が小さく、周囲の組織にダメージを与えにくい、負担の少ない治療法です。特に、細く柔軟なレーザーカテーテルの使用により、曲がりくねった静脈瘤にも対応可能で、皮膚を切らずに治療を完結できる点が大きな魅力です。
高周波治療(ラジオ波治療)の特徴
高周波治療は、レーザー治療と似ていますが、ラジオ波という別の熱を使います。
カテーテルはレーザーよりやや太め(約2.3mm)であり、専用の道具を使って血管に挿入します。
そのため、治療の際に少し大きめの穴が必要となり、治療の跡がレーザー治療に比べて少し目立つ場合があります。
画像提供:コヴィディエン・ジャパン
高周波治療のメリット
✅ 太い静脈(伏在静脈)の治療に向いている
✅ 手術時間がレーザー治療に比べて短め
✅ 保険適用で治療が可能
また、高周波治療では主な太い静脈(伏在静脈)は治療できますが、
枝分かれしている静脈瘤(側枝静脈瘤)には対応できません。
そのため、側枝静脈瘤がある場合は、静脈瘤を取り除く「静脈瘤切除術」という手術を追加で行う必要があります。これにより傷跡が少し増える可能性があります。
高周波治療のまとめ
✅ カテーテルが太め(約2.3mm)で穿刺跡がやや目立つ
✅ 太い静脈(伏在静脈)に対して治療効果がある
治療費用
レーザー治療・高周波治療も健康保険が適用され、片足あたり4万円前後(※健康保険3割負担)です。
治療を受けるときのポイント
治療法を選ぶ際には、それぞれの特徴やメリット・デメリットをよく理解して選択することが重要です。
専門医との相談をしっかり行い、自分の症状や希望に合わせた方法を選びましょう。
下肢静脈瘤は自然に治る病気ではありません。
症状を放置すると悪化する可能性もありますので、経過を見る場合でも、一度専門医に病状を評価してもらう事をおすすめします。
まとめ
レーザー治療、高周波治療はどちらも健康保険が適用される治療方法です。
1470nmレーザーを使用した治療は、傷が小さく、周囲の組織にダメージを与えにくい、負担の少ない治療法です。特に、細く柔軟なレーザーカテーテルの使用により、曲がりくねった静脈瘤にも対応可能で、皮膚を切らずに治療を完了できる点が大きな魅力です。
また、高周波治療と比較すると、1470nmレーザーは血液や水分により効率よく熱が吸収されるため、よりスムーズに血管を閉じられるというメリットがあります。
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