弾性ストッキングの効果と選び方|下肢静脈瘤専門医が解説

下肢静脈瘤の治療法

 

弾性ストッキングで足のむくみ・下肢静脈瘤をやさしくケア|正しい選び方と使い方を解説

「夕方になると足がパンパンにむくむ」「立ち仕事のあと、脚がだるくて重い」…そんな方におすすめなのが、弾性ストッキング(着圧ソックス)です。

血流をサポートして、足の疲れやむくみを軽減し、下肢静脈瘤の予防や再発防止にも役立つ医療アイテム。この記事では、弾性ストッキングの効果や選び方、正しい使い方と注意点まで、専門的な視点でわかりやすくご紹介します。

この記事では、以下の内容がわかります:

  • 弾性ストッキングの仕組みと期待できる効果
  • 目的・症状に合った選び方とタイプの違い
  • 正しい履き方と使用上の注意点
  • 医師に相談すべきタイミングや購入先

弾性ストッキングとは?静脈の血流をサポートする医療アイテム

血液の流れを助ける仕組み

弾性ストッキングは、足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力をかけることで、血液が下から上へ流れるのをサポートします。特に静脈の逆流を防ぐことで、足のだるさやむくみ、下肢静脈瘤の進行を防ぐ効果が期待されます。

写真提供:株式会社グンゼ

どんな人におすすめ?

弾性ストッキングは、以下のような方に特におすすめです:

  • 長時間の立ち仕事・デスクワークが多い方
  • 妊娠中のむくみに悩む妊婦さん
  • 足の静脈が浮き出てきたと感じる方
  • 足のだるさ・重さが日常的にある方

症状別に見る!弾性ストッキングの選び方

サイズ選びのポイント

まず大切なのは正確なサイズを選ぶこと。足首・ふくらはぎの周囲径を測り、製品ごとのサイズ表に合わせて選びます。合っていないサイズは、効果を発揮しないばかりか締め付けによる皮膚トラブルを引き起こす恐れがあります。

圧力の強さで選ぶ|弾性ストッキングの適応表

圧力の分類 目安の圧力値 適応症状・目的 使用時の注意点
弱圧 15~20mmHg 軽度のむくみ、予防目的、長時間立ち仕事の方 市販品でも対応可能。日常ケアに適している
中圧 20~30mmHg 軽度〜中等度の下肢静脈瘤、夕方の強いむくみ サイズ選びが重要。必要に応じて医師に相談
強圧 30~40mmHg 術後管理、重度の下肢静脈瘤やうっ滞性皮膚炎 医師の指導が必須。自己判断での使用は避ける

形状と用途別|主なタイプ

  • ハイソックスタイプ:膝下まで。軽度のむくみに適しています。
  • ストッキングタイプ:太ももまでをカバー。広範囲の圧迫が必要な方に。
  • マタニティタイプ:お腹周りを締め付けず、妊婦さんのむくみ予防に配慮。
  • オープントゥタイプ:つま先が開いており、外反母趾や水虫の方にも◎

関連記事【弾性ストッキングはつま先あり?それとも、つま先なし?使い分けのポイント】を読む

弾性ストッキングの正しい履き方と注意点

朝起きた直後に着用する

足がまだむくんでいない朝のうちに履くことで、1日を通して効果的にサポートできます。

履くときのポイント

  • 裏返してつま先からゆっくりと引き上げる
  • シワやたるみを作らず均等に伸ばす
  • 折り返さない(部分的な強い圧になり危険)

就寝時の着用は医師に確認を

基本的に、弾性ストッキングは日中使用が推奨されます。就寝時に使用すると、必要以上の圧迫が血流障害を招く可能性も。医師の指示がある場合を除き、就寝時の着用は避けましょう。

洗濯と耐久性のポイント

  • ネットに入れて洗濯し、陰干しを基本とする
  • 同じ製品を毎日履くと劣化しやすいため、複数枚の使い回しがおすすめ
  • 耐久性の目安はおおよそ5〜6ヶ月

よくある質問(FAQ)

Q. 市販と医療用はどう違う?

医療用の弾性ストッキングは、足首からふくらはぎ、太ももにかけて段階的に最適な圧力がかかるよう精密に設計されており、下肢静脈瘤やむくみの重症度に応じた治療的効果が期待できます。医師の診察に基づいて処方されることが多く、圧の強さやサイズの誤りによるリスクを最小限に抑えることができます。

一方、市販品は主に軽度のむくみや疲労感の軽減を目的とした日常ケア向けに作られており、圧力も比較的弱めに設定されています。初期のむくみ対策には便利ですが、中等度以上の症状や医療的管理が必要なケースには不十分な場合があるため注意が必要です。

Q. 弾性ストッキングは寝るときにも履いていいですか?

弾性ストッキングは基本的に日中の活動時間に使用することが推奨されています。というのも、立位や座位など重力の影響を受ける時間帯にこそ、血液が足に滞留しやすく、圧迫によるサポートが効果を発揮するためです。

一方で、横になって寝ている間は重力の影響が小さくなり、圧迫の必要性が低下します。その状態でストッキングを履き続けると、過剰な圧力が皮膚や血管に負担をかけたり、血行障害やしびれなどを引き起こすリスクがあるため注意が必要です。

就寝中の着用は、医師の判断に基づき、特別な目的がある場合に限って使用するようにしましょう。たとえば、術後管理や重度の静脈疾患で医師から具体的な指示があるケースなどが該当します。
関連記事:【弾性ストッキングは寝るときに必要?専門医が正しい使い方を解説】を読む

院長がYouTube動画で弾性ストッキングについて解説

弾性ストッキングの使い方や選び方について、文章だけではイメージしづらいという方には、専門医による解説動画がおすすめです。

実際の着用シーンや注意点を、目黒外科の院長がわかりやすく説明していますので、「どこまで引き上げればいいの?」「シワにならない履き方は?」といった疑問も解消できます。

Q. どこで購入できますか?

弾性ストッキングは、全国のドラッグストアや医療機関、そして医療用製品を取り扱う専門の通販サイトなどで購入することができます。

市販されている弱圧タイプ(15〜20mmHg)は、比較的手に入りやすく、軽度のむくみ対策や予防目的として日常的に使われています。

一方で、中圧〜強圧タイプ(20〜40mmHg)になると、静脈瘤やうっ滞性皮膚炎といった医療的な管理が必要な症状に対応するためのものが多く、使用には医師の診察や指導を受けることが推奨されます。
特に強圧タイプは誤った使い方で血流障害を起こすリスクもあるため、自己判断での購入・使用は避けましょう。

Q. かゆみや赤みが出たら?

弾性ストッキングを着用中にかゆみ・発赤・痛み・湿疹などの皮膚トラブルが現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師にご相談ください。

これらの症状は、ストッキングの圧力が強すぎる、サイズが合っていない、または履き方に問題がある場合に起こることがあります。特に皮膚が敏感な方は注意が必要です。

皮膚の状態を見ながら、圧力の変更・サイズ調整・素材の見直しなどを検討することで、より快適に安全に使用できるようになります。無理に使い続けると悪化する恐れがあるため、自己判断せず、専門医の指導を仰ぐことをおすすめします。

下肢静脈瘤の専門クリニック|目黒外科へご相談ください

弾性ストッキングは、正しい選び方・使い方がとても重要です。

東京都品川区にある「目黒外科」は、下肢静脈瘤の治療に特化した専門クリニック。医療用ストッキングの選び方・使い方についても、経験豊富なスタッフが丁寧にアドバイスいたします。

足のむくみ・血管の浮きが気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。

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