下肢静脈瘤で血栓は飛ぶ?肺塞栓の可能性を専門医が答える
「下肢静脈瘤があると、血栓が飛んで肺に詰まることはありますか?」
外来でよくいただく質問です。
結論からお伝えすると、可能性は高くありません。
しかし、絶対に起こらないとは言い切れません。
今回は、下肢静脈瘤と血栓、そして肺塞栓との関係について、専門医の立場からわかりやすく解説します。
まず知っておきたい:下肢静脈瘤とは
下肢静脈瘤は、静脈弁が壊れ、血液が逆流して足に滞る病気です。
血流が停滞すると、まれに血管内に血栓(血のかたまり)ができることがあります。
起こりうるのは「表在性血栓性静脈炎」
下肢静脈瘤に合併する血栓の多くは、表在静脈に起こる「血栓性静脈炎」です。

下肢静脈の解剖図
症状としては、
- 血管に沿った赤み
- 押すと痛い硬いしこり
- 局所的な腫れ
などが見られます。
この段階では、通常は命に関わる状態ではありません。
では、血栓は「飛ぶ」のか?
ポイントはここです。
表在静脈にできた血栓がそのまま肺に飛ぶことは基本的には起こりにくいとされています。
しかし、血栓が大きくなり、深部静脈へ及んだ場合には状況が変わります。
深部静脈に血栓が形成されると、それが血流に乗って肺へ移動し、肺塞栓症を引き起こす可能性があります。
その確率は高くありませんが、絶対安全とは言えません。
肺塞栓を疑う症状
- 突然の息切れ
- 胸の痛み
- 動悸
- 失神
これらの症状がある場合は、緊急受診が必要です。
リスクを下げるためにできること
① 血流を滞らせない
長時間の座りっぱなし・立ちっぱなしを避けましょう。
② 適切な圧迫療法
医療用弾性ストッキングは血流改善に有効です。
③ 痛みや赤みを放置しない
静脈瘤部分が赤く腫れたら、早めに医療機関を受診しましょう。
過度に心配しすぎなくて大丈夫
下肢静脈瘤がある=すぐ肺塞栓になる、というわけではありません。
多くの場合は、適切に経過を見れば大きな問題にはなりません。
重要なのは、
- 症状を知ること
- 変化を見逃さないこと
- 必要なときに検査を受けること
まずは今の状態を確認しましょう
血栓リスクは見た目だけでは判断できません。
超音波検査で血流の状態を確認することが大切です。
まとめ
下肢静脈瘤に伴う血栓は、多くが表在静脈にとどまります。
ただし、血栓が深部静脈に及べば、肺塞栓につながる可能性はゼロではありません。
「過度に恐れず、正しく理解すること」
それが、安心につながります。


