超音波でわかる!下肢静脈瘤の血栓検査法まとめ ― 冬にも注意したい「血栓性静脈炎」 ―
下肢静脈瘤の合併症として知られる血栓性静脈炎。一般的には「夏に多い」と言われることが多い疾患ですが、実は冬場にも少なくありません。
当院でも「冬なのに血栓ができていた」「寒い時期に急に足が痛くなった」という患者さんを毎年数多く診察しています。
この記事では、血栓性静脈炎とはどんな病気か、なぜ冬にも多いのか、超音波検査で何がわかるのか、放置するとどうなるのかを、下肢静脈瘤専門クリニックの視点から分かりやすく解説します。
血栓性静脈炎とは?
血栓性静脈炎とは、静脈の中に血栓(血のかたまり)ができ、炎症を起こした状態を指します。
下肢静脈瘤のある方では、ふくらはぎ・太もも・膝の裏などの表在静脈に血栓ができることが多く、次のような症状が出現します。
- 急な痛み
- 押すと強く痛む
- 赤く腫れる
- 触ると硬いしこりを感じる

血栓性静脈炎
「ただの筋肉痛だと思っていた」「しばらく様子を見ていた」という方も少なくありません。
血栓性静脈炎は夏に多い?実は冬も多い理由
確かに夏は、脱水になりやすい・暑さで血管が拡張するといった理由から血栓ができやすい季節です。しかし、冬にも血栓性静脈炎が多い理由があります。
① 寒くて家の中で動かなくなる
冬は外出が減り、長時間座りっぱなし、こたつやソファでじっとしているといった生活になりがちです。足の筋肉を動かさないと、ふくらはぎの筋ポンプ作用が働かず、血流が滞ります。
② 部屋は暖かく、厚着をしている
暖房の効いた室内で厚着をしていると、汗をかいていないと錯覚したり、体の水分が減っていることに気づきにくかったりします。
③ 夏と違って水分摂取量が減る
冬は喉の渇きを感じにくく、水分摂取量が明らかに少なくなる方が多い季節です。コーヒーやお茶だけで済ませてしまうケースもよくあります。結果として血液が濃くなり、血栓ができやすい状態になります。
血栓性静脈炎の診断で最も重要なのは「超音波検査」
血栓性静脈炎の診断において、最も重要なのが超音波(エコー)検査です。
超音波検査では、以下の点を確認できます。
- 血栓があるかどうか
- 血栓の位置(どの静脈か)
- 血栓の大きさ・長さ
- 深部静脈に及んでいないか
- 静脈の逆流の有無(下肢静脈瘤の重症度)
見た目だけでは、単なる皮膚炎なのか、血栓性静脈炎なのか、深部静脈血栓症なのかを正確に判断することはできません。
なぜ「深部静脈まで血栓が及んでいないか」が重要なのか
表在静脈の血栓性静脈炎そのものは、命に直結するケースは多くありません。
しかし注意すべきなのは、
血栓が深部静脈へ伸びていないか、深部静脈血栓症を合併していないかという点です。
深部静脈血栓症になると、肺塞栓症・呼吸困難・突然死といった重篤な合併症につながる可能性があります。そのため、超音波での正確な評価が不可欠です。
血栓性静脈炎を放置するとどうなる?
血栓性静脈炎による痛みや腫れは消炎鎮痛剤を服用すれば1~2週間で良くなります。
では、静脈内に存在する血栓はその後どうなるのでしょうか。
ごく一部の方では、血栓とともに静脈瘤も小さくなり、消えてしまうことがあります。
しかし多くの方では、血栓の一部は溶けるものの、器質化血栓といって血栓が硬くなり、静脈内に残ってしまうことが少なくありません。
そして、この残存した器質化血栓が、再び夏や冬に血栓を生じる原因となりうるのです。
冬こそ「足の痛み・しこり」は要注意
冬は「動かない」「水分を摂らない」「血流が悪くなる」という条件が揃いやすい季節です。「冬だから大丈夫」「寒いだけだろう」と自己判断せず、急な足の痛み、押すと痛いしこり、赤く腫れた部分があれば、早めに超音波検査を受けることをおすすめします。
まとめ|血栓性静脈炎は季節を問わず起こります
血栓性静脈炎は夏だけの病気ではありません。冬にも多く発症し、超音波検査で正確な評価が必要です。下肢静脈瘤をお持ちの方は特に、「いつもと違う痛み」「急な症状」を感じたら、早めに専門医へ相談してください。正確な診断と適切な対応が、重症化を防ぐ最も確実な方法です。

