脚のシミや色素沈着、実は静脈うっ滞が原因かも?
「スネが茶色くくすんできた」「かゆくて掻いた跡が消えない」――その“シミ”、単なる日焼けや加齢ではなく
静脈うっ滞(うったい)による皮膚変化かもしれません。下肢静脈瘤の専門医が、原因・見分け方・受診の目安・治療とケアをわかりやすく解説します。
静脈うっ滞による色素沈着とは?
足の表在静脈(皮膚の近くを走る静脈)で逆流が起こり、血液が下にたまり続けると、毛細血管の内圧が上がって赤血球がにじみ出ます。
分解された赤血球の鉄分(ヘモジデリン)が皮下に沈着して
茶褐色の色素沈着として見える――これが「うっ滞性皮膚炎~色素沈着」のメカニズムです。
- 好発部位:くるぶし周り・スネの内側(重力の影響が強い)
- 併発しやすい症状:かゆみ、乾燥、湿疹、赤み、皮膚の硬化(皮膚脂肪硬化)
- 進行すると:皮膚潰瘍や感染のリスクが上がる

うっ滞性皮膚炎の症状
“普通のシミ”との違い|チェック表
| 項目 | 静脈うっ滞由来 | 日焼け・加齢のシミ |
|---|---|---|
| 色 | 茶~黒褐色、むら状 | 薄茶~濃茶、円形~楕円 |
| 場所 | くるぶし周り・スネ内側に集中 | 日光が当たる部位中心 |
| 皮膚の質感 | ざらつき、乾燥、硬さが出ること | 質感は多くが変わらない |
| 随伴症状 | むくみ、だるさ、かゆみ、こむら返り | 自覚症状は少ない |
放置はNG:色は自然に消えにくい
静脈うっ滞による色素沈着は、自然には戻りにくいのが特徴です。原因の逆流が続くと、かゆみ→掻破→湿疹→硬化の悪循環に入り、やがて潰瘍につながることも。
皮膚の保湿だけでは根本解決になりません。

うっ滞性皮膚炎
診断方法:エコーで“原因静脈”を特定
- 問診・視診触診:部位・範囲・皮膚の硬さ・腫脹・圧痛を確認
- 下肢静脈エコー:逆流の有無と範囲、原因静脈(大伏在・小伏在・分枝)を評価
- 鑑別:湿疹、接触皮膚炎、蜂窩織炎、血管炎、リンパ浮腫など
※ 足の主要な血流は深部静脈が担います。静脈瘤は主に表在静脈の病変で、適切に閉鎖しても脚の血流機能は保たれます。
治療:原因を断つ“日帰り”の血管内治療+皮膚ケア
- 血管内レーザー治療/グルー治療:逆流している表在静脈を内側から閉鎖。創部1〜2mm、歩いて帰宅可。
- 硬化療法:細いクモの巣状・網目状静脈瘤が目立つ場合に併用。
- 皮膚治療:保湿・抗炎症外用、掻き壊しの是正、感染予防。
- 圧迫療法:日中に医療用弾性ストッキングを着用(就寝中は原則不要)。
※ 色素沈着は治療後にゆっくり薄くなることがありますが、完全には消えない場合があります。早期の原因治療が将来の皮膚障害・潰瘍リスクの低減につながります。
ご自宅でできるセルフケア(今日から)
- 保湿は入浴後すぐ:乾燥とかゆみの悪循環を断つ。
- 日中の弾性ストッキング着用:立位時間に着用。サイズは必ずフィッティング。
- こまめに動く:30〜60分ごとに1〜2分歩く、足首まわし20回、つま先立ち20回。
- 体重・塩分の管理:むくみ軽減に有効。ただし食事やサプリで静脈瘤自体は治りません。
受診の目安|こんなときは専門医へ
- スネや足首の茶色い変色が広がっている/固くなってきた
- 繰り返すかゆみ・湿疹、掻き壊しが治らない
- むくみ・だるさ・寝ている間のこむら返りがある
- 皮膚がただれてきた、しみ出す液体がある、痛みが強い
下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」
目黒外科は、「切らない・縫わない・痛みの少ない」下肢静脈瘤の日帰り治療に特化した専門クリニックです。
アクセス:JR・東急線「目黒駅」徒歩1分(東京都品川区)
公式サイト:https://meguro-geka.jp/


