若い男性も注意!下肢静脈瘤は遺伝と生活習慣がリスクになる

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若い男性も注意!下肢静脈瘤は遺伝と生活習慣がリスクになる

20代・30代男性に知ってほしい下肢静脈瘤の基礎知識

【執筆・監修】
本記事は、日帰り手術に特化した下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」の院長・齋藤陽 医師(医学博士、日本外科学会認定外科専門医)が監修しています。
齋藤医師はこれまでに5,700件以上の下肢静脈瘤手術を執刀し、国内外から患者が訪れる実績を持っています。

20代・30代男性に知ってほしい下肢静脈瘤の基礎知識

「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」という病気、みなさんはご存知でしょうか?実は、これは足の血管にまつわるトラブルで、決して中高年や女性だけのものではありません。20代・30代の男性でも発症する可能性があり、実際に私のクリニックにも若い男性患者さんが来院されるケースが増えてきています。けれども、その存在やリスクについてあまり知られていないのが現状です。

下肢静脈瘤とは、足の表面近くを走る静脈が膨らみ、時に「こぶ」のように見える病気です。原因の多くは、血液が戻るのを防ぐ静脈の弁がうまく働かなくなり、血液が下へ逆流してしまうこと。初期症状としては「足がだるい」「夕方になるとむくむ」「ふくらはぎが重い」といった違和感が現れます。また、進行すると見た目にも血管が浮き出してきたり、痛みや皮膚の変色などが出てくることも。仕事やプライベートでアクティブに活動したい世代には、なかなか無視できない症状ですね。

下肢静脈瘤の写真

下肢静脈瘤は遺伝の影響が大きい疾患で、親から子へ体質が受け継がれる場合があります。実際、家族歴があると発症リスクもグンと高まることが分かっています。「うちの親父も足がボコボコしてたな…」という方は、特に注意が必要かもしれません。しかも、はっきりした自覚症状がないまま進行することも多いので、油断は禁物です。

この記事では、下肢静脈瘤の遺伝的な側面を中心に、発症リスクや原因、日常でできる予防法、専門医への相談のポイントなどを分かりやすく解説していきます。自分自身や家族の健康を守るためにも、まずは正しい知識を持つことから始めてみませんか?長年下肢静脈瘤の治療に携わってきた経験をもとに、できるだけリアルな視点でお伝えします。

下肢静脈瘤は遺伝する?家族歴と発症リスクの関係

「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」は、実は体質が深く関係する病気のひとつです。ご両親や親戚に同じ症状を持つ方がいると、「自分もなるのかな?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。結論から言えば、下肢静脈瘤は遺伝的な要因が強く、家族歴がある場合、発症リスクが大きく高まることが知られています。特定の遺伝子が突き止められているわけではありませんが、医学的な統計からも「親から子へ体質が受け継がれる」ことは明らかです。

具体的な発症確率についても、いくつか興味深いデータがあります。
例えば、片親だけに下肢静脈瘤の既往がある場合、子どもが発症する可能性は男性で約25%、女性で約62%と報告されています。しかも、両親ともに静脈瘤を持っている場合、発症リスクは90%近くにまで跳ね上がるケースも。出典:Gundersen J, Hauge M. Hereditary factors in venous insufficiency. Angiology. 20: 346-55, 1969

こうした数字を見ると、「自分は大丈夫」と油断できないですよね。特に若い男性の場合、「女性の病気」というイメージから見過ごしがちですが、家族歴があれば十分に注意が必要です。

ただし、「親が静脈瘤だから絶対に自分もそうなる」と決まっているわけではありません。遺伝的な体質はあくまで“なりやすさ”を高める要素。実際の発症には、生活習慣や環境要因も大きく関与しています。たとえば、長時間の立ち仕事や運動不足、肥満などが加わることで、もともと弱かった静脈の壁や弁にさらに負担がかかり、発症を後押ししてしまうことも少なくありません。

また、なぜ女性の発症率が高いのかというと、ホルモンバランスや妊娠・出産といった特有の要素が影響しています。ただ、男性でも遺伝的素因があれば、年齢やライフスタイルによって症状が現れることは十分にあり得ます。実際、私のクリニックにも「親父も同じ症状だった」という20代・30代の男性患者さんが少しずつ増えてきている印象です。

つまり、下肢静脈瘤は「家族の病歴=自分のリスク」とも言える病気。特にご家族や身近な方に静脈瘤の既往がある場合は、自分自身も発症しやすい体質だと意識することが大切です。自覚症状が少ないうちから、生活習慣の見直しや定期的なチェックを心がけておくと安心ですね。

20代・30代男性が知るべき下肢静脈瘤のその他のリスク要因

下肢静脈瘤が「遺伝」や「家族歴」と深く結びついていることはよく知られていますが、実はそれだけが発症リスクの全てではありません。若い男性でも、普段の生活習慣や環境によって静脈瘤のリスクは大きく変化します。「年齢的にまだ関係ない」と思っている方ほど、将来の健康のために知っておきたいポイントがいくつかあるんです。

長時間の立ち仕事やデスクワークは要注意

例えば、飲食業や販売業、工場勤務などで長時間立ちっぱなしになる方、あるいはIT系や事務職などでずっと座りっぱなしという方も少なくありません。実は、どちらのパターンも下肢静脈瘤の原因になりやすいんです。立ちっぱなしだと足の静脈に重力がかかり続け、血液が心臓に戻りにくくなります。逆に座りっぱなしの場合も脚の筋肉が使われず、血流が滞りがちに。どちらも静脈の壁や弁に余計な負担をかけてしまい、発症リスクを高めてしまいます。

肥満や運動不足も静脈への“隠れた負担”

体重が増えてくると、足の血管にかかる圧力も自然と大きくなります。肥満の方は静脈への圧迫が強くなり、血液の流れが悪化しやすい傾向にあります。また、日常的に運動が不足していると、ふくらはぎの筋肉が十分に使われず、血液を押し戻すポンプ機能が弱まります。これも静脈瘤の“隠れた原因”のひとつ。毎日少しずつでも歩いたり、階段を使う習慣を持つだけでも、血管への負担は大きく減ります。

加齢だけじゃない!若い世代も油断は禁物

「静脈瘤は年配の方の病気」というイメージを持つ方も多いですが、生活環境の変化や働き方の多様化で、20代・30代でも発症するケースが増えてきています。特に親や親戚に静脈瘤の家族歴がある場合、生活習慣に気を配らないと、年齢に関係なく症状が現れることも。自分はまだ若いから大丈夫――そう思い込まず、「体質+生活習慣」でリスクをコントロールする意識が大切です。

下肢静脈瘤の主な症状と見た目の特徴

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、足の静脈がこぶのように膨らんだり、蛇行して浮き出たりするのが大きな特徴です。特にふくらはぎや太もも、足首のあたりに、青紫や緑色の血管が皮膚の表面に目立つようになるケースが多いですね。パッと見て「血管がボコボコしてるな」と違和感に気づく方も少なくありません。

見た目の変化だけでなく、日常生活で感じる足のだるさや重さも下肢静脈瘤の代表的な症状です。夕方になると足がズーンと重くなったり、階段を上がるときに疲れやすかったりする場合、静脈瘤が隠れていることがあります。実際、若い男性の患者さんからも「仕事終わりに足がパンパンにむくんでつらい」「立ち仕事の後は足が熱くてかゆくなる」といった声をよく聞きます。これらは単なる疲労のサインと思われがちですが、静脈の弁がうまく機能しないことで血液が溜まり、症状として現れていることも多いんです。

【関連記事】下肢静脈瘤の兆候はこれ!見逃しやすい初期症状と対策を専門医が解説

むくみやかゆみ、痛みも静脈瘤のサイン

足のむくみや軽い痛み、かゆみなども静脈瘤の初期症状として見逃せません。特に、長時間立ちっぱなしや座りっぱなしの後に「靴下の跡がなかなか消えない」「足首やふくらはぎがジンジンする」という場合は要注意です。むくみは血流の停滞が原因で、静脈瘤が隠れていることもあります。また、皮膚がカサついたり、かゆくなったりする症状も目立ちます。「たかがむくみ」と軽く考えず、自分の足の変化に敏感になってみてください。

重症化サイン:皮膚の変色や潰瘍

下肢静脈瘤が進行すると、足首のまわりの皮膚が茶色っぽく変色したり、硬くなったりすることがあります。さらに悪化すると、皮膚に潰瘍(じゅくじゅくした傷)ができるケースも。こうなってしまうと日常生活にも支障が出ますし、感染症のリスクも高まるため、早めの専門医受診が不可欠です。重症化のサインを見逃さないことが、足の健康を守る第一歩だと実感しています。

うっ滞性皮膚炎 色素沈着 湿疹

若い男性も油断禁物!気になる症状は早めに相談を

「静脈瘤=年配の女性の病気」というイメージが根強いですが、遺伝や家族歴、生活習慣などが関係して、20代・30代の男性にも十分起こりうる病気です。私のクリニックにも「まだ若いのに足の血管が気になる」と受診される方が増えてきました。症状が軽いうちに適切な対策を始めれば、進行を防ぐことも可能です。見た目の変化や足の違和感を感じたら、まずは専門医に気軽に相談してみてくださいね。

下肢静脈瘤の予防法と日常でできる対策

「自分はまだ若いし大丈夫」と思っている方も、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)の発症リスクをゼロだと過信しないでください。特に親や家族に静脈瘤の既往がある場合、発症リスクが高まることが知られています。ただし、日々のちょっとした心がけで予防できることも多いんです。ここでは、私が実際に患者さんにアドバイスしている予防法や、日常生活で取り入れやすい対策を紹介します。

適度な運動で血流を促進

静脈瘤の大きな原因のひとつは、足の血流が滞ること。特にデスクワークや立ち仕事が多い方は、どうしても足に血液が溜まりやすくなります。私自身も、毎日20〜30分程度のウォーキングをおすすめしています。歩くことでふくらはぎの筋肉がポンプの役割を果たし、静脈の血流がスムーズに流れやすくなります。最近では、階段の昇り降りやこまめなストレッチも効果的だと実感しています。

同じ姿勢を避ける・足を動かす習慣を持つ

長時間立ちっぱなし、あるいは座りっぱなしの状態は静脈瘤のリスクを高めます。仕事中でも、1時間に1回は足首を回したり、かかとを上下に動かしたりするだけで血流が改善します。私のクリニックでも「デスクワーク合間のストレッチ、やるだけで全然違いました」との声が多いですね。エレベーターより階段を選ぶ、通勤時は一駅分歩いてみるなど、無理なく続けられる工夫を取り入れてみましょう。

体重管理で足の負担を減らす

体重が増えると、どうしても足の静脈にかかる圧力が大きくなり、静脈瘤のリスクが高まります。特に家族歴のある方は、食生活の見直しや適度な運動で体重コントロールを意識してみてください。BMIが高い方ほど発症率も上がる傾向にありますので、無理のない範囲で健康的な体重を目指すことが重要です。

弾性ストッキングの活用と足を高くして休む習慣

医療用の弾性ストッキングは、静脈への圧力を適切に分散し、血液の逆流を防ぐ効果があります。家族歴がある方や、足のだるさ・むくみを感じる方には特におすすめです。寝る前や休憩時間に足を心臓より高い位置に上げて休むことも、下肢への血液のうっ滞を防ぐ上で有効な方法です。ソファやクッションを活用して、リラックスタイムに取り入れてみてください。

 

 

弾性ストッキング

弾性ストッキング

【関連記事】弾性ストッキングの効果と選び方|足のむくみ・下肢静脈瘤対策に

家族歴があるなら早めの専門医受診も検討を

親や兄弟に下肢静脈瘤の既往がある場合、発症リスクが高まる「体質」を受け継いでいる可能性があります。自覚症状がなくても、専門医のもとで一度エコー検査を受けてみると安心です。早期発見・早期対策が、将来の重症化リスクをぐっと減らしてくれます。日常のちょっとした違和感や、家族歴が気になる方は、ぜひ気軽に相談してみてください。

まとめ:遺伝リスクを知り、早めの予防と専門医受診を心がけよう

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、「親から子へ遺伝する病気なの?」という疑問を持つ方が多い疾患です。実際、家族歴があると発症リスクは確実に高まります。父母どちらかに静脈瘤がある場合で男性25%、女性62%、両親ともに患っていると90%と、想像以上に高い確率で「体質」が受け継がれることがわかっています。特に20代・30代男性の皆さん、ご自身がまだ若いと油断せず、リスクを正しく理解しておくことが大切です。

ただし、「遺伝だけ」で決まるわけではありません。たとえ家族歴があっても、日頃の生活習慣や運動の有無、体重管理などで発症リスクはコントロールできます。逆に、家族に静脈瘤がなくても、長時間の立ち仕事や運動不足・肥満などの要因が重なると下肢静脈瘤を発症する可能性は十分にあります。つまり、遺伝はあくまで「なりやすさ」の一因。自分の体質や生活環境を把握し、できることから対策を始めるのがポイントです。

症状としては、足の血管がボコボコと浮き出たり、だるさ・むくみ・痛みなどが現れます。初期のうちは見た目の変化だけで済むことも多いですが、放っておくと皮膚の変色や潰瘍、血栓といった重い合併症につながることも。私がこれまで診てきた患者さんも、「もっと早く相談すればよかった」と振り返る方が少なくありません。もし家族歴があったり、日常で違和感を覚えた場合は、迷わず専門医の診察を受けてください。超音波検査(エコー)は痛みもなく、ごく短時間で静脈の状態がチェックできます。

若いうちから「自分は大丈夫」と思い込まず、リスクを知ってしっかり予防すること。生活習慣の見直しに加え、必要に応じて弾性ストッキングの活用や定期的な検査を取り入れることで、下肢静脈瘤の発症や悪化を大きく防ぐことができます。もしもの時は、専門医があなたの悩みにしっかり寄り添いますので、気軽に相談してくださいね。健康な足で毎日を快適に過ごせるよう、今日から一歩を踏み出しましょう。

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下肢静脈瘤は早期の対策が非常に重要です。目黒外科では、専門医による超音波検査を随時受付中。
「家族に静脈瘤がいる」「足がむくむ」「血管が浮いている気がする」と感じたら、お気軽にご相談ください。

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まとめ:遺伝リスクを知り、早めの予防と専門医受診を心がけよう

📌「自分もそうかも…」と思ったら、早めの行動を!

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