下肢静脈瘤とむずむず脚症候群の関係とは？専門医が徹底解説

下肢静脈瘤（かしじょうみゃくりゅう）とむずむず脚症候群（レストレスレッグス症候群、RLS）には深い関係があることが近年の研究で明らかになっています。
どちらの疾患も足に関係する症状が特徴ですが、共通点や違いを理解することが重要です。

この記事では、【下肢静脈瘤の基本】【むずむず脚症候群との関係】【治療と予防のポイント】という3つの観点から、詳しく解説します。

下肢静脈瘤とは？その仕組みと症状

下肢静脈瘤は、足の血管（静脈）がふくらんで目立つ病気です。
特に立ち仕事をしている人や高齢者、妊娠経験のある女性に多く見られます。

血液は、心臓から全身へ送り出され、静脈を通って心臓に戻ります。
しかし、足の静脈には「逆流防止弁（べん）」があり、血液が逆流しないようになっています。
この弁が壊れてしまうと、血液が足にたまり、血管がふくらんでしまいます。これが下肢静脈瘤です。

下肢静脈瘤には、次のような症状があります。

– 足の血管がボコボコと浮き出る
– 足が重だるい、疲れやすい
– むくみや痛みが出る
– こむら返り（夜間に足がつる）
– 皮膚が黒ずむ、かゆみが出る

特に、長時間立ちっぱなしの後や、夕方～夜になると症状が悪化することが多いです。

むずむず脚症候群（RLS）は、足に不快な感覚が生じ、動かさずにはいられなくなる病気です。
特に、夕方から夜にかけて症状が出やすく、睡眠の妨げになることもあります。

代表的な症状は次のとおりです。

– 足がむずむずする、不快な感覚がある
– じっとしていると症状が強くなる（座っている時や寝る前など）
– 足を動かすと一時的に楽になる
– 夜に症状が悪化し、眠れなくなる

この症状が続くと、慢性的な睡眠不足になり、集中力が低下したり、日中の生活に支障をきたすことがあります。

最近の研究によると、むずむず脚症候群の患者さんの約20％が、足の静脈に異常（静脈の逆流）を持っていることがわかっています。
さらに、下肢静脈瘤の治療を行うことで、むずむず脚症候群の症状が改善するケースが多いのです。

ある調査では、下肢静脈瘤の手術を受けた人の98％がむずむず脚の症状が改善したと報告されています。
この結果は、足の血液の流れを改善することで、神経の異常な刺激が抑えられる可能性を示しています。

つまり、むずむず脚症候群の原因の一つとして、下肢静脈瘤が関係している可能性があるのです。
そのため、足の違和感やむずむずする感覚が続く場合、静脈の異常をチェックすることが大切です。

下肢静脈瘤の治療には、手術以外にもさまざまな方法があります。
軽症のうちは、生活習慣の改善や医療用ストッキングを使うことで症状を和らげることができます。

主な治療方法は以下の3つです。

1. 圧迫療法（医療用ストッキングの着用）
– 医療用のストッキングによる圧迫は、足の静脈の血流を良くします。

2. 硬化療法（注射で治療する方法）
– 静脈瘤に薬を注射し、血管を閉じる方法です。軽度の静脈瘤に適用されます。

3. 手術治療（レーザー治療や高周波治療）
– カテーテルを静脈に挿入し、レーザーや高周波で逆流している静脈をふさぐ治療です。痛みが少なく、短時間で終わります。

むずむず脚症候群の症状を軽減するためには、以下のポイントを意識しましょう。

– 夕方以降のカフェイン・アルコールを控える
– 鉄分をしっかり摂る（貧血があると症状が悪化しやすいため）
– 適度な運動をする（ウォーキングやストレッチ）
– 規則正しい生活を心がける（睡眠の質を上げることが重要）

また、足の静脈に異常がある場合は、早めに下肢静脈瘤の治療を受けることが有効です。

下肢静脈瘤とむずむず脚症候群は、一見別の病気に見えますが、実は深い関係があることがわかっています。
むずむず脚症候群の症状がある方は、静脈の異常が原因になっている可能性も考えられるため、一度専門医に相談することをおすすめします。

また、足の違和感や痛みがある場合は、早めに診察を受け、適切な治療を受けることで症状の改善が期待できます。
日々の生活で気をつけることで、足の健康を守ることができますので、ぜひ実践してみてください！