足の血管が浮き出る原因とは?画像で見る下肢静脈瘤の進行度と治療法【医師監修】
下肢静脈瘤とは?足の血管がボコボコ浮き出る原因を知ろう
下肢静脈瘤とは?初心者でもわかる基本の解説
下肢静脈瘤とは、足の静脈が拡張し、血管が皮膚の表面に浮き出て見える病気です。主な症状は、血管が浮いて見える、ふくらはぎや足にだるさ・重さを感じる、軽いむくみやかゆみなどです。ひどくなると、痛みや夜間のこむら返り、皮膚の変色なども現れることがあります。

下肢静脈瘤の画像
なぜ血管が浮き出るの?原因とメカニズムをやさしく解説
下肢静脈瘤ができる主な原因は、静脈弁(じょうみゃくべん)の機能不全です。足の静脈には、血液が心臓に戻るのを助けるための「弁」がついています。長時間の立ち仕事や加齢、妊娠などがきっかけで、弁の働きが弱くなると、血液が逆流しやすくなり、血管内に血液がたまって静脈が膨らみます。これが血管が浮き出る正体です。

静脈弁が壊れると静脈瘤になる
放置するとどうなる?進行と合併症リスクに注意
初期の下肢静脈瘤は見た目以外に大きな症状がないこともありますが、放置すると症状が進行し、痛みやだるさ、むくみ、こむら返りなどの症状に加え、皮膚トラブルとして皮膚炎、色素沈着、さらには潰瘍(かいよう)といった合併症を引き起こすこともあります。こうしたトラブルを防ぐには、早めの気づきと対処が重要です。
下肢静脈瘤 画像で“見て”分かる重要性
下肢静脈瘤は目で見て分かる病気ですが、実際の進行度や症状の違いは写真や画像で見ることでより理解しやすくなります。「下肢静脈瘤 画像」を活用し、さまざまな症状のパターンを知ることで、ご自身の状態を客観的に把握する手助けにもなります。
下肢静脈瘤の進行度の段階を実際の画像とともに詳しく見ていきましょう。
下肢静脈瘤の画像で見る進行度の段階とは?実際の写真で理解しよう
ここでは、下肢静脈瘤の進行度を「軽度・中等度・重度」の3段階に分け、実際の症例画像を参考にしながら、それぞれの特徴やセルフチェックのポイントを詳しくご紹介します。
下肢静脈瘤の進行度を画像で確認
下肢静脈瘤の進行度は、主に血管の浮き出方や色の変化、皮膚表面の見た目、感じる症状によって判断されます。以下の写真やイラストを参考に、ご自身の足の状態と比較しながらセルフチェックしてみましょう。
軽度:細い血管がくもの巣状や網目状に浮き出る段階

クモの巣状静脈瘤:細い青紫色の血管が皮膚表面に見える
- 青紫色や赤色の細い血管がくもの巣状・網目状に浮き出る
- 痛みやむくみなどの自覚症状はほとんどないが、見た目が気になることが多い
- セルフチェック: 足首やふくらはぎ、太ももを見て、細くて浅い血管の浮き上がりがないかを確認してみましょう
中等度:太めの血管がボコボコと浮き出る段階

中等度の下肢静脈瘤:太い血管が浮き出て、膨らみが目立つ
- 太めの血管が曲がりくねってボコボコと浮き出る
- 寝ている時や明け方に足がつることがあります
- 夕方になると足の重だるさ・むくみを感じることも
- セルフチェック: 立った状態で太もも、ふくらはぎ、すねの血管に膨らみや盛り上がりがないかを確認しましょう
重度:皮膚トラブルや色素沈着を伴う段階

重度の下肢静脈瘤:皮膚の変色・湿疹・潰瘍
- 血管の盛り上がりに加えて皮膚が茶褐色に変色
- 湿疹や皮膚のただれ、かゆみ、潰瘍ができることもある
- セルフチェック: 血管の盛り上がりに加え、皮膚の色や湿疹・かゆみがある方、足の傷の治りが悪い方はすぐに専門医を受診しましょう
画像を活用したセルフチェックの重要性
下肢静脈瘤は進行度によって見た目や症状が大きく変わります。画像を活用してご自身の足の状態を知ることで、早期発見や早めの医療機関受診につながります。「下肢静脈瘤 画像」などのキーワードで検索する際も、上記のような症例写真を参考にすることがポイントです。
次は実際に病院でどのような画像診断や検査が行われるのか、詳しく解説します。
下肢静脈瘤の画像診断とは?病院で行われる検査内容をわかりやすく解説
画像診断の役割と重要性
下肢静脈瘤の診断や治療方針の決定には、目視による診察だけでは不十分な場合があります。画像診断を行うことで、血管の状態や血流の異常を正確に把握でき、より適切な治療を選択できるようになります。特に、どの血管にどの程度の逆流があるかを明確にすることが、今後の治療計画にとって非常に重要です。
主な画像診断方法と検査の流れ
下肢静脈瘤の診断で最も多く用いられるのが超音波(エコー)検査です。エコー検査は、痛みや被ばくの心配がなく、繰り返し行える安全な検査方法として一般的です。検査の流れは以下のようになります。
- 検査室でベッドに横になる、または立った姿勢で足を出す
- 検査部位にゼリーを塗布し、専用のプローブを当てて画像を撮影
- 静脈の太さや走行、血流の状態、弁の逆流の有無などを観察
必要に応じて、CTやMRIなどの他の画像検査が追加されることもありますが、多くの場合はエコー検査のみで十分な情報が得られます。
画像診断でわかること
画像診断では、主に以下のような点を調べます。
- 静脈の拡張具合(どの血管がどのくらい太くなっているか)
- 血流の逆流の有無(逆流の位置や範囲、程度)
- 血管の走行や分岐(異常な血管の形成や蛇行の有無)
- 血栓の有無や他の血管疾患の兆候

下肢静脈瘤の診断には超音波検査が必須
検査前の準備や注意点
病院で画像診断を受ける際は、特別な準備は必要ありません。また、立った状態や座った状態で検査する場合もあるので、動きやすい服装がおすすめです。検査は10~15分程度で終わり、痛みもありませんので安心して受けられます。
画像診断をもとにした今後のステップ
このように、超音波検査は下肢静脈瘤の現状を正確に把握し、適切な治療方針を立てるために欠かせないプロセスです。次は、画像で確認された進行度ごとに、どの段階で治療が必要になるか、治療の選択肢について詳しくご説明します。
治療の目安と選択肢:画像で見るどの段階で治療が必要?
ここでは、画像診断の結果をもとにした治療開始のタイミングや目安、症状に応じた治療法について詳しく解説します。画像を活用した治療効果のビフォー・アフター例もご紹介し、読者の皆様が安心して適切な対策を選べるようサポートします。
画像診断でわかる治療開始のタイミングとは?
下肢静脈瘤の治療は、症状や静脈の拡張度合いなど、画像診断の結果をもとに判断されます。
主な治療開始の目安は以下の通りです。
- 肉眼で血管の蛇行や拡張が明確に確認でき、見た目を改善したい
- 足のむくみ・だるさ・痛みなどの自覚症状がある
- 色素沈着や皮膚炎などの合併症が認められる
軽度で自覚症状が少ない場合は経過観察や保存療法が選択されますが、進行例や症状が重い場合は積極的な治療が推奨されます。
軽度の下肢静脈瘤に適した治療法
画像で軽度と診断された場合には、以下の保存療法が第一選択となります。
- 弾性ストッキング(着圧ソックス):足の静脈の血流を改善し、症状悪化を防ぎます。正しいサイズ選びが重要です。
- 生活習慣の改善:長時間の立ち仕事や座りっぱなしを避け、定期的に足を動かしましょう。
- 運動:ウォーキングや足の筋力トレーニングが静脈ポンプ機能を高め、症状の進行予防に有効です。
クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤が気になる方は硬化療法により見た目の改善を図ることができます。
進行した下肢静脈瘤に対する治療法と画像による解説
画像診断で血管の拡張や蛇行が著明だったり、皮膚トラブルが生じている場合は、以下のような治療が検討されます。
- 血管内焼灼術(レーザー治療・高周波治療):
治療する静脈内にカテーテルを挿入し、熱により静脈を閉塞させる治療。傷跡がほとんど残らず、通院治療(日帰り手術)が可能です。 - 血管内塞栓術(グルー治療):
治療する静脈内に接着剤を注入し、血管を閉塞させます。
【関連記事】下肢静脈瘤の手術方法|レーザー治療・グルー治療・硬化療法の違い
治療法選択の判断基準と医師との相談ポイント
治療法の選択は、画像診断の結果と症状の程度、生活スタイルを総合的に考慮して決めます。以下のポイントを医師と相談しましょう。
- どの治療法が自分の画像所見・症状に最適か
- 治療後の生活やダウンタイムについて
- 治療効果のビフォー・アフター画像や実際の症例
- 再発リスクや通院頻度、費用面
画像で治療の進行度や効果が「見える化」されることで、納得して治療に取り組めるはずです。
画像で見る治療効果:ビフォー・アフター例
下記は実際の治療前後の画像例です。

下肢静脈瘤ビフォーアフター写真(左:手術前 右:手術後)

下肢静脈瘤ビフォーアフター写真(左:手術前 右:手術後)
治療前は血管の拡張や蛇行が目立ちますが、治療後は皮膚表面がなめらかになり、痛みやむくみなどの症状も改善していきます。画像を比較することで、治療の効果や進行度が一目で分かるため、治療選択の大きな安心材料となります。
まとめ:自分の足の状態を画像で理解し、適切な対策を始めよう
下肢静脈瘤は早期発見・早期治療が重要
下肢静脈瘤は放置すると進行し、足のだるさや痛み、むくみ、こむら返りなどの不快な症状に加え、皮膚の変色やかゆみ、潰瘍といった深刻な症状につながることもあります。早期発見・早期治療を行うことで、日常生活の質を維持できるだけでなく、重症化を防ぐことができます。下肢静脈瘤の画像とご自分の足の状態を見比べてみてセルフチェックし、異変を感じたら速やかに専門医へ相談することが、健康な足を守る第一歩です。
画像診断の役割と治療選択のポイント
超音波検査による診断は、静脈の拡張や逆流の程度、血栓の有無などを正確に把握するために不可欠です。症状の進行度や画像から得られる情報をもとに、弾性ストッキング、硬化療法、カテーテル治療、グルー治療など、最適な治療法が選択されます。ご自分の足の病状と医師の説明を照らし合わせることで、納得した治療選択が可能になるでしょう。
セルフチェックと早期受診のすすめ
本記事で紹介した下肢静脈瘤画像を用いたセルフチェックのチェックポイントを活用し、日常的に自分の足を観察する習慣を持つことが大切です。もし、血管の浮き出しや色の変化、むくみや痛みなどの異常を感じた場合は、自己判断せず、早めに専門医を受診しましょう。画像診断を受けることで、症状の原因や進行度が明確になり、適切な治療につながります。
この記事をきっかけに、ご自身の足の健康を意識し、定期的なセルフチェックや専門医での画像診断を受けてみてください。下肢静脈瘤の早期発見・治療が、健康で快適な毎日を支える大きな一歩となります。
よくある質問(FAQ)
Q. 足の血管が浮き出てきたら、すぐ受診すべきですか?
必ずしもすぐ手術が必要というわけではありませんが、自己判断は禁物です。上記の画像から進行度を評価し、ご自身の足が静脈瘤と疑われる場合は一度専門医を受診しましょう。
下肢静脈瘤は、見た目で気づくことができる病気です。自分の足を観察し、症状が見られる場合は、画像診断による正確な評価を受け、必要に応じた治療を行いましょう。
Q. 下肢静脈瘤は自然に治ることはありますか?
A. 自然に治ることは基本的にありません。進行性の疾患であり、時間とともに悪化する可能性が高いため、見た目だけでなく、こむら返りやだるさ、むくみなどがある場合は早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。
Q. 静脈瘤があっても運動して大丈夫ですか?
A. はい、多くの場合は運動が推奨されます。特にウォーキングやふくらはぎの筋肉を使う運動は、血液の循環を助け、症状の進行予防につながります。ただし、足の痛みがある場合などは、医師に相談した上で行いましょう。