足の静脈と皮膚の深い関係
~下肢静脈瘤が進行すると皮膚はどうなるのか?~
足の血管が浮き出てボコボコとふくらんで見える「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」。多くの人が「見た目の問題」として気にする病気ですが、実は皮膚にまで悪影響を及ぼすことがあります。
今回紹介するのは、下肢静脈瘤と皮膚脂肪硬化(ひふしぼうこうか)という状態の関係について調べた研究です。
下肢静脈瘤とは?
まず、下肢静脈瘤は足の静脈にある「逆流防止弁」が壊れ、血液がうまく心臓に戻らなくなることで起こる病気です。その結果、血液が足にたまりやすくなり、血管が拡張してふくらんできます。

下肢静脈瘤 画像
この状態が長く続くと、足の皮膚にもさまざまな変化が起こります。
皮膚脂肪硬化とは?
皮膚脂肪硬化は、皮膚の下の脂肪層が硬くなり、皮膚が茶色く変色したり、厚くゴワゴワになってしまう状態です。進行すると、足に潰瘍(かいよう)と呼ばれるキズができることもあります。

皮膚脂肪硬化
皮膚の中で何が起きているのか?
ある研究では、足のくるぶしの周りから皮膚の一部を小さく採取し、皮膚1mm²あたりの白血球の数を調べました。
状態 | 白血球数(1mm²あたり) |
---|---|
下肢静脈瘤のみ(合併症なし) | 約6個 |
皮膚脂肪硬化あり | 約45個 |
潰瘍の既往あり | 約217個 |
※白血球は、体内で炎症や感染と戦う免疫細胞です。
このように、症状が重くなるほど白血球の数が多くなる傾向が見られました。
血管の圧を高めても白血球は増えない?
この研究では、患者さんを座らせて足を30分間下げ、静脈圧(血管内の圧力)を意図的に高くした場合でも、白血球の数には変化が見られなかったと報告されています。
つまり、白血球の増加は一時的な血圧の変化ではなく、慢性的な血流のうっ滞や炎症が関与していると考えられます。
どうして皮膚がかたくなるの?
静脈瘤がある状態では、血液が足にたまり、酸素や栄養が届きにくくなるため、周囲の組織がダメージを受けやすくなります。
そこに白血球が集まり、炎症反応を引き起こすことで、皮膚や脂肪層が硬く変化していくのです。さらに進行すると、皮膚にキズができ、治りにくい潰瘍になることもあります。

皮膚潰瘍
結論:皮膚の変化は血管からのサイン
足の皮膚に以下のような変化がある場合:
- 茶色っぽい色に変わってきた
- 皮膚が硬くなってきた
- むくみやだるさが続く
- 傷がなかなか治らない
それは、下肢静脈瘤が進行して皮膚にも影響を与えているサインかもしれません。
早めの受診が重要です
下肢静脈瘤は「ただの見た目の問題」ではなく、放置すれば皮膚の炎症や潰瘍などの合併症に進展する可能性がある病気です。
専門のクリニックで超音波検査などを受ければ、今の状態を正確に把握し、治療や予防に取り組むことができます。
まとめ
- 静脈瘤が進むと、皮膚の中に白血球が増え、炎症が起こる
- 皮膚が茶色くなったり、硬くなったりするのはそのサイン
- 潰瘍ができる前に、早めに専門医に相談しましょう
足の皮膚が気になる方は、静脈の病気が隠れている可能性があります。早めの対処が、症状の悪化を防ぐ第一歩です。
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