秋冬に脚のかゆみや乾燥が悪化する理由|静脈瘤が原因のことも
秋から冬にかけて「スネがかゆい」「粉をふく」「保湿しても治らない」といった相談が増えます。単なる乾燥だけでなく、下肢静脈瘤に伴ううっ滞性皮膚炎(うったいせいひふえん)が隠れているケースも。本記事では季節要因と血管の仕組みを専門医の視点でわかりやすく解説し、セルフケアと受診の目安をお伝えします。
秋冬に悪化する3つの理由
① 湿度低下と皮膚のバリア機能低下
外気の湿度低下と暖房による乾燥で経表皮水分蒸散(TEWL)が増え、角層の保水力が落ちます。特にスネは皮脂腺が少なく乾燥しやすい部位です。
② 体の冷えによる末梢血流の低下
寒さで末梢血管が収縮し、皮膚表面への血流が低下。老廃物が滞りやすく、かゆみ物質が皮膚で作用しやすくなります。
③ 生活習慣の変化(運動不足・長時間同じ姿勢)
在宅勤務や外出する機会の減少でふくらはぎの筋ポンプが働かず、下肢の静脈血が滞りやすくなります。夕方になると脚が重い・だるい・むくむ—といった訴えが増えるのはこのためです。
乾燥・かゆみと下肢静脈瘤の関係
下肢静脈瘤は皮下を走る表在静脈の逆流が主因で、秋冬は血流の滞りが目立ちやすく、皮膚に炎症を起こしうっ滞性皮膚炎(かゆみ・赤み・湿疹・鱗屑)を生じることがあります。
- スネのかゆみ+茶色い色素沈着:うっ滞が続くと皮膚が硬くなり(脂肪皮膚硬化)、色素沈着が残ることがあります。保湿だけでは改善しにくいのが特徴です。
- 湿疹の反復:市販薬で一時的に落ち着いても、原因の静脈うっ滞が続くと再発を繰り返します。
- 進行例:放置するとびらん・潰瘍(難治性の皮膚潰瘍)に至ることがあり、早期の評価が重要です。

うっ滞性皮膚炎の皮膚症状
見た目が「粉ふき乾燥」に見えても、背後に静脈うっ滞があると保湿だけでは限界があります。下肢静脈エコー検査で逆流の有無を確認することが根本対策につながります。
受診を検討すべきサイン(セルフチェック)
- 夕方になると脚が重い・だるい・ほてる
- スネのかゆみ・湿疹が反復し、茶色い色素沈着が出てきた
- 表面に青い血管が浮き出て見える/ボコボコが触れる
- 長時間の立ち仕事・デスクワークで悪化しやすい
- 夜間や起床時のこむら返りが増えた
2つ以上当てはまる場合は、血管外科での評価(エコー検査)をおすすめします。
今日からできるセルフケア
保湿は「入浴後3分以内」+擦らない
入浴後すぐに保湿剤(ヘパリン類似物質、尿素・セラミド配合など)を薄く広く塗りましょう。タオルで擦らず押さえるのがコツ。
入浴で血流をサポート
熱すぎない湯(目安40℃・10〜15分)で半身浴。長風呂・高温は乾燥や掻きこわしを誘発することがあります。
日中の圧迫ケア(着圧ストッキング)
むくみ・だるさの予防は日中が要。就寝時よりも、立位・座位で重力がかかる昼間の着用が効果的です。つま先は基本的にノーマルタイプをお勧めします。
暑がりな方・五本指ソックス派・外反母趾などの方はオープントゥタイプでもOK。

ノーマルタイプ

オープントゥタイプ
「1時間に1分」のふくらはぎ運動
かかとの上げ下げ、足首回し、つま先立ちで筋ポンプをこまめに動かしましょう。デスク下でもOK。

静脈瘤対策の方法
就寝前の脚挙上
クッションでふくらはぎを心臓よりやや高く。10〜15分の脚挙上でうっ滞軽減に役立ちます。
治療の選択肢と当院の方針
原因が下肢静脈瘤の場合、日帰りの低侵襲治療で根本改善を図れます。
- 血管内焼灼術(レーザー):逆流する静脈を内側から閉塞。皮膚切開・縫合は行いません。
- フォーム硬化療法:蜘蛛の巣状・網目状の血管に薬液を注入して萎縮させる方法(適応を選びます)。
- うっ滞性皮膚炎の皮膚治療:炎症・かゆみには外用治療も併用。色素沈着は時間を要し、完全に消えないことがあります。
冬は治療の好機。汗・紫外線が少なく、包帯やストッキングも装着しやすく、傷跡が目立ちにくい季節です。春までに見た目や症状を改善したい方におすすめです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 保湿しても良くなりません。受診の目安は?
Q2. かゆい部分を掻いてしまいます。悪化しますか?
Q3. 着圧ストッキングは寝るときに履くべき?
下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」のご案内
- 特徴:切らない・縫わない・痛みを最小限にする日帰り治療。術後は歩いてお帰りいただけます。
- 実績:レーザー治療の豊富な症例数。2020年から5年連続で下肢静脈瘤レーザー手術件数日本最多。
- 診療体制:日曜診療あり。日本全国・海外からもご来院。
- 対応:レーザーカテーテル手術・フォーム硬化療法、再発例にも対応。


